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2006/08/13

【エンブリオ】

次は何を読むか
今はまりこんでいるのが逢坂剛でたまの浮気相手が桐野夏生だとすると、箒木蓬生はさしずめ元カレ?

本を読んでいると、自然とそのチャンネルに代わっている。だからチャンネル代えを必要とする状態になると、つい本に手が伸びる。そんなことしてるバヤイじゃないじゃん、とどこかで思いつつも、安全弁が働くのだからとめられない。そうやって逃げるから、ものごとをとことんつきつめられないのかもしれない。
あああ、そういうのを人は「ハンパもん」と呼ぶのよね~。わかってるさ。

読後を書いているときもやはり、該当のチャンネルに入る。
明日から田舎。にもかかわらず、田舎行き用の本を買い込んでいない。さあてね、どうするか?

【エンブリオ】箒木蓬生:集英社文庫

これはまた、行き帰りの通勤電車のお供に特におすすめである。息もつかずに読めるといって、時々はいやおうなく読みに切れ目が入った方がいい。そうでもしないと虚実の境目を見失う。それほど「医」の表裏・真偽を知り抜いた作者のしかけは綿密だ。

「エンブリオ」とは大義には「胎児」、特に受精後8週までの胚をいう。つまり、本作は最先端医療である生殖・再生・移植医療において止むことなく議論され続けている「生命倫理」がテーマ。
先に「受精」や「臓器農場」を読んだなら、なお織り込められたリアリティを理解する。むしろそれらを未読でいきなり本作にチャレンジするのは危険かもしれない。
「受精」に見られたロマンスも「臓器農場」にはあった勧善懲悪的結末も本作には用意されておらず、作者は徹底して闇と狂喜を描くことでのみ真なるもののありかを示唆しようする。
胸が悪くなるほどの展開の連続の果てに、読者自らが光る石を足元から拾い上げることを作者は要求しているのだ。
箒木ワールド、堪能!

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